【不動産のプロが解説】もう使わない農地は売却できないって本当!?

休耕地や耕作放棄地という言葉を聞いたことはありますか。休耕地はお米や野菜の栽培を行っていない土地のことで、耕作放棄地は作物の栽培をせずに1年以上が経ち、なおかつ耕作を再開する見通しがたっていない土地のことです。どちらも作物を作っていない土地であり、近年では、そういった土地を見かけることも、少なくありません。
農地の売却は難しいのか?
「農地を売るのは難しい」といったイメージには、農地法が大きく関係しています。農地法の中で、農地を買うことができるのは農業委員会に許可を受けた農家に限られ、誰にでも自由に売ってはいけないと厳しく規制されていることからきています。
また、農地自体にも厳しい制限が設けられているので、農地を売りたいと考えたら、はじめに自分が所有する農地の区分を確認しましょう。区分によって、転用や売却が可能かどうか違ってきます。

参照:農林水産省ウェブサイト 農業振興地域制度及び農地転用許可制度より (https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/)
農地を売る方法は?
農地を売る方法としては、次の2つが考えられます。
■農地のまま売却する
農地は、農地のまま売るのが最も手間がかからない方法と言えます。しかし、知り合いや近隣で規模を広げたいと考えている農家があれば別ですが、自分自身で買い手を見つけるのは困難です。農協や農業委員会に問い合わせ・相談したり、不動産業者に依頼したりと、しっかりと専門家の意見を聞くのが一番です。

■農地を宅地に転用して売却する
農地での売却が難しい場合は、農地を宅地などに転用して売却する方法もあります。転用するには、管轄の農業委員会や都道府県知事から転用許可を得る必要があります。

どちらの場合も、買い主と売買契約を結ぶのは農業委員会の許可が下りる前ですが、もし許可が下りなければ売買契約は無効になることを了承した上で売買契約を結びます。
農地売却にかかる費用や税金は、どのくらい?
農地を売却した場合は、次のような費用や税金がかかります。
・仲介手数料
不動産業者に支払う費用です。依頼する際に、あらかじめ確認しておきましょう。
・行政書士の報酬
農地売買に伴う各許可の申請は自分でもできますが、書類の取得や申請書の作成は複雑で、行政 書士に頼んだ方が安心です。その際、行政書士への依頼報酬が必要です。
・印紙
売買契約書に印紙税が必要です。
・譲渡所得税紙
売却した金額から算出した金額が課税されます。
【譲渡所得】
農地の売却額-購入額-売却にかかった諸費用
【税率】
農地を取得してから5年以上たっているかどうかで税率が違います。
所得額に下記の税率をかけた金額が税額となります。

参照:農林水産省ウェブサイト 農地制度より (https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/)
農地を売る時に気をつけておきたいこと!
農地を転用して売却をする場合は、農地を宅地化する前に売ることはできませんし、宅地化した後に手を加えることもできません。それを守らなければ、許可が取り下げられる場合もあるため注意しましょう。
農地の売却には、一般的な不動産の売買とは異なり、売却許可や転用許可の申請や手続きが必要です。できるだけ農地売買のノウハウが豊富な不動産業者を選んだ方が、安心です。
次の記事で、農地を有効に活用するためのさまざまなアイデアや実践例を詳しく解説しています。
本記事は、2024年8月時点の情報に基づいて作成しています。
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