放っておくのはもったいない。使わなくなった農地をどう活かす!?

休耕地や耕作放棄地を売る方法は、前回のブログ で紹介しましたが、実際には売ることができない農地や親族の反対で手放すことができない農地もあります。
今回は、そんな使わない農地が抱える問題点や、これからのビジネスにつながる可能性がある活用法をご紹介します。
もくじ
使わない農地。放置しておくとトラブルの原因に!?
いわゆる耕作放棄地は年々増加の傾向にあります。農地を長く放置しておくと、様々なデメリットが生じ、地域住民の迷惑になってしまう可能性もあります。
耕作放棄地のここが問題!
<管理の必要がある>
使わない農地でも、草刈りやゴミ拾いといった管理が必要です。管理を怠って土地が荒れると売りにくくなるばかりか、また農業を再開しようと思っても整地や土壌改良が必要になる場合もあります。
<害虫、野生動物が棲みつく>
雑草に害虫が発生したり、野生動物などが近づくようになると、周辺環境の迷惑になります。
<ゴミの不法投棄>
景観を損なうだけでなく、不法投棄のゴミを処分するのには結構な費用と労力がかかります。農地を再生する時にも、大きな障害となります。
<固定資産税を払い続ける必要がある>
使わない土地でも、固定資産税を払い続ける必要があります。さらに、耕作放棄地が「遊休農地」と判断されると、固定資産税は普通の農地の約1.8倍になるので、注意が必要です。
貸したり、ビジネスにつなげたり。休耕地を上手に活かす方法
使わなくなった農地を手放すことが難しいなら、何とか他の使い道がないのかを考えてみましょう。農地活用で新たなビジネスを始めることを検討してみても、いいかもしれません。
農地のまま活かす
■個人や企業に貸す
農地のままで個人や企業に貸し、そのまま農業を営んでもらいます。農地として使ってもらいながら、賃料などが得られるのが魅力です。借り手は、各都道府県に設置されている農地バンク(農地中間管理機構の通称)などで探すこともできます。農地バンクは、中立の立場で、農地を貸したい人と借りたい人の間に立ってくれるので安心です。
■体験農園・観光農園にする
大きな収益につながりますが、農地や作物の管理、施設(トイレや休憩所)の建設などが必要です。綿密な計画や堅実な運営が大切になってきます。
農地転用して活かす
■駐車場、コインパーキングにする
初期費用が少なく、始めやすいビジネスです。周辺環境の需要を見極めれば、継続的に収入が得られます。
■資材置場にする
工務店や工場などを対象に、大きな資材の置き場所として貸し出します。建物などが必要なく、初期費用が少なくてすみます。
■アパートや高齢者施設を建設する
賃貸アパートや高齢者施設を建て、運営していきます。一定の土地の広さや、初期費用の投資、運営のノウハウが必要です。
■太陽光発電を設置する
農地は平らで日当たりのいい場所が多いので、太陽光発電を設置するには向いている土地と言えます。初期費用の他、機材の維持費やセキュリティの管理費などが必要です。
農地活用する時の注意点は!
農地を農地以外の目的で使う場合、必ず農地転用の申請を出して許可を受け、工事が終わったら「地目変更登記」を行う必要があります。
新たな土地活用としてビジネスを考える場合は、隣接する道路の広さや近隣の建物などの周辺環境、需要、その後の運営や維持管理などを充分に理解した上で取り組んでください。用地転用の申請も含め、専門知識のある不動産業者へ相談してみるのが安心です。
また、農地転用には一定の期間がかかります。余裕をもって進めましょう。
農地転用。できる土地とできない土地の違い
【ポイント】
◇農用地区域農地:ほぼ許可は認められない
◇甲種農地、第1種農地:原則的に許可を受けるのは難しいが条件付きで転用可能
◇第2種農地、第3種農地:原則的に許可を受けることが可能
※詳細は下記表を参照ください。

参照:農林水産省ウェブサイト 農業振興地域制度及び農地転用許可制度より (https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/)
また、同時に立地基準を満たす必要もあり、一般基準の条件を満たしていなければ許可されない場合があります。
【一般基準】主に次の項目で判断されます。
■転用の確実性があるかどうか(提出した事業計画通りに転用事業を行えるかどうか、など)
■周辺農地への影響(周辺農家の営農条件に支障をきたす恐れがないか、など)
■一時転用の場合、確実に農地への原状回復ができるか
農地転用したら、税金はどうなる?
農地は、一般的な宅地や商業地よりも固定資産税が優遇されているので、農地から住宅地に転用すると、一般的には固定資産税も高くなります。ただ、アパート経営などでは固定資産税や相続税の減税措置の対象となったり、農地バンクを利用した際には一定期間固定資産税が半額になるなどの優遇措置もあるので、事前に確認することをおすすめします。
不明点やご相談がありましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。
本記事は、2024年8月時点の情報に基づいて作成しています。
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