土地に関する知識

よく聞くけど、よく知らない・・・。市街化区域と市街化調整区域。その差は何?

2024/09/30

土地の広告などで「市街化区域」や「市街化調整区域」または「都市計画区域」と言った言葉を見たことはありませんか。日ごろはなかなか気にすることのない言葉ですが、土地を売る・土地を買う・家を建てるとなると重要になってきます。
今回は、よく聞くけれど今さら人に聞けない「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いについて紹介します。

市街化区域と市街化地調整区域の違いは?

日本の国土は、地方自治体ごとの都市計画法に基づき、大きく都市計画区域と都市計画区域外に分かれます。その都市計画区域の中に市街化区域と市街化調整区域はあり、これらを区分けすることを「区域区分」、または「線引き」と呼びます。

【市街化区域とは】

すでに市街地となっており、街を活性化させるために優先的かつ計画的に市街化される土地のことです。おおむね10年以内に市街化することが望ましいとされています。市街化区域は、さらに用途地域が13種類に区分され、どんな建物を建てられるのか、どのくらいの規模(大きさ)で建てられるのかが、細かく決められています。

【市街化調整区域とは

あまり市街化計画をせず、都市化を抑制しようとする土地が市街化調整区域です。住宅や商業施設の建設が原則認められず、農林漁業用の建物など、例外を除いては基本的に新たに建物が建築しにくい土地です。ただし、自治体によっては開発許可が出ている場合もあるので、必要であれば自治体に確認しましょう。

市街化区域・市街化調整区域に住むメリットやデメリットは?

市街化区域と市街化調整区域に住む際、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのか説明します。

【市街化区域のメリット・デメリット

市街化地域は、いわば街の中心部です。公共交通機関や上下水道をはじめとするインフラも充実していれば、病院や学校なども近くにあり、生活するのに便利な地域です。たとえ今はそんなに発展していなくても、今後発展していくと考えられます。土地や住宅の売却もしやすいと言えますが、市街化地域の土地や住宅には、固定資産税とは別に都市計画税が課せられます。

【市街化調整区域のメリット・デメリット

市街化調整区域は郊外に広がっているため、静かで環境のいい地域です。新たに建物を建てることは原則できませんし、すでに建っている住宅などのリフォームなどにも許可が必要です。この地域の土地や建物の固定資産税は比較的安く、都市計画税はかかりません。

※市街化調整区域のメリット・デメリットは、【不動産のプロが解説】市街化調整区域を相続した場合の対処法:放棄と相続 でさらに詳しく説明します。

土地の区域を自分で調べることはできるの?

自分が住んでいる地域やこれから購入しようと考えている土地があれば、その土地の用途地域を知っておくことは大切なことです。今後どのように開発されるのか、どんな建物が建つ見込みがあるのかを大まかに予測することもできます。

■自治体で調べる
用途地域は、各自治体の窓口で調べることができます。ホームページで公開している自治体もあるため、「調べたい地域」「用途地域」で検索してみましょう。

■国土交通省のホームページで調べる
国土交通省のホームページには、様々な国土数値情報があげられています。
「国土交通省」「国土数値情報」「用途地域」で検索すると、ダウンロードページが表示されます。

■不動産会社に聞く
土地の専門家である不動産会社で、用途地域の情報を把握していることも多いようです。

区域による評価額の差はどれくらい?

市街化調整区域の固定資産税評価額は、近隣の市街化区域と比べて約2~3割ほど低くなっている場合が多いようです。インフラが整っていない事や、最寄り駅や商業地区から遠いという生活の不便さが、大きな理由と考えられます。
市街化調整区域には都市計画税がかからない点はお手頃な気がしますが、利用目的が明確ではない場合は、想定している活用方法ができない場合があります。最初に土地や建物がある場所の区域をしっかり把握することから始めましょう。

本記事は、2024年9月時点の情報に基づいて作成しています。

この記事を書いた人
記事執筆者 日本興新株式会社代表取締役 星和